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摩耶峰央原画展(1/4部)に行ってきた。

明治大学の米澤嘉博記念図書館で摩耶峰央の原画展が展開されている。10月から2月の間に4期開催予定で、各期で展示物が替わるようだ。先週は摩耶峰央本人が来場しトークショーも開催されたらしい。まったくうらやましい。

しかしこの展示会は土日祝日月曜金曜のみ開催される。平日の火曜・水曜・木曜はやってない。社会人に冷たい展示会だなぁ。そして、第一期が今週金曜日まで。ギリギリになると混みそうなので、月曜の今日に都合を着けて行ってきた。

まず、明治大学の施設ならJR御茶ノ水駅近くかな、と思ったら結構入り組んだ道を進んで「ここが大学の設備?」というビルにその米澤嘉博記念図書館はあった。

そして、この米澤嘉博記念図書館もだが、米澤嘉博氏という人も知らなかったので、図書館の内容にだいぶ驚かされる。

なんでも、マンガ評論家だった人らしい。そして1975年の第一回コミックマーケット(以降「コミケ」)の設立メンバーだったそうな。だからコミケカタログがあんなにならんでいたのか。

たぶん、氏の蔵書のほんの一部なのだろうが、なかなか濃い書籍が展示されていた。2階の閲覧室ではこれらの一部を見ることができるのだろうけど、日大学生以外は登録が必要そうだったのでそれ以上は入るのをヤメた。

この米澤嘉博氏の常設展の横で摩耶峰央原画展が展開される。まずは1981年に描かれた自画像がお出迎えだ。下にスピーカーがついてて、録音された摩耶峰央先生の肉声が拝める。見えないのに拝めるって言わないかしら? 拝聴できる。

「ラシャーヌ」の原画や、「パタリロ!」の扉絵などが複数展示されている。見どころはやはり墨塗りのベタと繊細な線。そして修正液の少なさ。

下の効果音「グッサーッ」の周りは一度ペンで描かれてからホワイトで消しているのではなく、ペンで描かれる段階でフェードアウトさせている。それもココだけではない。展示されている原画のほとんどでホワイトがない。

吹き出しの中は写植後の鉛筆を消すためのホワイトで、先生の作業ではない。今回展示されている原画から見つけられたホワイトは「ラシャーヌ」のこの部分だけ。何を間違えてホワイトしたかも想像できない場所だ…。

展示されている原画の下には先生のコメントが掲示されているのだが、その中で一番驚愕だったのがこれ。

カブラペンはGペンよりは堅いので強弱がつきにくいにしても、あの線は絶対丸ペンだと思っていたら冒頭から否定である(笑)。6から7つのペン先から1本しか良いペン先が見つからないし、それでも5,6枚で交換するって、プロはさすがや。

堅いカブラペンであるが、一度ヘタるとGペンと同じぐらい強弱がつきやすくなるので、「ヘタる境界」でも線が変わらないということは腕のキープやペン先の高さの維持、力の入れ方が一定なんでしょうね。100巻も「パタリロ!」描いて腕の病気がネタにならないのはいろいろ気をつけてるんだろうなぁ。

また、先生はネームを編集に出さないことでも有名。ネームは台詞回しやコマ割り構成などを考えて、編集と相談したりするのに利用する台本。一応、りょうすけも月刊誌SoftwareDesignの連載マンガ「ひみつのLinux通信」では編集とやり取りするのに使っている。

今回はそのネームが展示されてた。しかも巷では名作とされているが、実はパタリロの強欲深さで一人の部下が死んだだけやん、という「FLY ME TO THE MOON」のネームである。ありがたやありがたやw。

ネーム以外に未公開作品としてラフ画像が展示されていた。

ラフや設定ノートとか(これまでの発言から)持ってなさそうなので、こういうのが残って展示されているのは貴重だと思う。

いやぁ、楽しかった。できれば、トークショーに参加して、「ひみつのLinux通信」に出てくる先輩キャラクターは先生の玉ねぎ部隊のインスパイアです!って伝えて公認とりたかったけど、予定があわなかったのでしょうがない。次の機会を狙います。

原画展示会はこの後、2月まで数週間おきに4期展示物がかわるそうなので、毎回行きますよ。

絵本「はらぺこあおむし」の原画展はボリュームたっぷりでお腹いっぱい。

世田谷美術館でやってるエリック・カール展に、有給休暇をとって行ってきた。

「はらぺこあおむし」って絵本、みんな知ってるよね?
卵から孵ったばかりの青虫が、空腹の余りいろんなものを穴を開ける程度つまみ食いし、どこで見つけたのかチョコレートケーキとかサラミとかアイスクリームとか食べて、最後に蝶になるお話。

エリック・カールはアメリカ人。彼の作品は紙にあらかじめアクリル絵の具などで色をつけて、それを切って貼る「コラージュ」で表現される。
貼り絵だなんて、よくムスメに読んでる絵本だけど全然気づかなかった。原画を見るとたしかに貼り絵であることはわかる。

「はらぺこあおむし」の特徴は、細工絵本。1ページにいくつかの食材の中心に開けた穴、幅の違うページの並ぶ構成などがある。
この作品は1969年にアメリカで出版されたらしいが、製本は日本で作られたとのこと。日本で出版されたのは1976年だそうだが。

しょうじき「はらぺこあおむし」しか知らなかったけど、他の作品の展示も細かくて、別の細工がされていたりで、最初から最後もまでずっと楽しめる。

一番いいのは作成過程がうかがえる、下書きと原画を並べた展示。そりゃいきなり切って貼ってるわけなくて、「こんな感じだろー」な絵がベースにあり、展示はなかったが結果の原画が見えるのは面白い。1ページ分の下書きだけではなく、絵本の下書きも用意しているのが置いてあった。
残念ながら、ケースの中で見られなかったが。

「はらぺこあおむし」を読んだことがある方は行っといたほうがいいぞ。

国立西洋美術館のラファエロ展に行ってきた。

上野の国立西洋美術館で2013年6月2日までの間ラファエロ展が開催されていますよ。

比較的恵まれたサラブレッド的な芸術家が、ダヴィンチとミケランジェロと同じ時代を切磋琢磨して作り上げた作品が集まっています。ラファエロについてはあまり知識持たずに行ったのですが、モナ・リザの背景を真似たように見える似顔絵とか人間の体の作りを考えたデッサンなどを見ると交流があったんか、と妄想が膨らみます。いいえ、いやらしい妄想ではありませんよ。また、ラファエロ本人の作品だけでなく、弟子や影響をうけた作家の作品も展示されていますが、弟子の作品についてはラファエロ自身の絵を版画にして売りさばいていたという、ああ〜この時代ってパトロンだけからの収入以外に食い扶持があるのかーでも有名でないと売れないし、ラファエロだからできたことなのかなーという妄想もまた一興です。

空いてたので1時間半ぐらいで回れました。1500円で手頃な値段なのでお時間と興味がありましたら是非どうぞ!

今回の展示で一番驚いたのは「署名の間」に描いたという「アテナイの学堂」(画像はWikipediaの「ラファエロの間」より)の一部。

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以下の部分が目についたのですが、これ1991年のGuns N’ Roseseのアルバム「Use Your Illution」のジャケットに使われている部分だね。

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以下は実際のそのジャケット画像をAmazonから。

USE YOUR ILLUSION 1 Use Your Illusion 2
Webを検索してみると、Guns n’ Rosesファンの間では常識レベルな様子。すみません、出直してきます。

売店で面白そうな本が売ってたのでこれを買って来ました。

すぐわかる キリスト教絵画の見かた
全然キリスト教の知識がないので今後そういう絵画を見るときの助けになるといいなー。